火. 4月 7th, 2026

 少年革命家を謳うYouTuberの日本一周企画で資金が尽きたために資金援助を申し出るという動画を出したのだ。
 彼の活動に対して色々と賛否両論あるのは知っているのだが、それとは別に100万円の資金援助を申し出てそれが嘘だったと言うことに対して法的に問題がないかを考えてみることにする。

 当然だが、私は刑法には詳しくない。それと言うのも私の本業である行政書士は刑法は門外漢であるからだ。しかし、こういう事例に対して法的にどうなのかと考えることは私自身の勉強になるのでやってみることにしたのだ。

 さて、それでは『100万円の資金援助をする』と言うのはもちろん贈与契約である。

民法540条
 贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生じる

 となっている。

 ある人(以後Aと記載する)が少年YouTuberへ100万の資金援助を行うと言う意思表示がなされ、それをユーチューバー側が承知したことであろうから普通に考えてこの段階で贈与契約は成立したと見るべきだろう。

 贈与契約が発生した以上、Aは100万円をYouTuber側に支払う義務が生じるのは間違いない。

 ここまでは誰でも理解できるだろう。さて次は「実は嘘でした」のところである。

 贈与契約の解除に関しては

民法550条
 書面によらない贈与は、各当事者が解除することができる。ただし履行の終わった部分については、この限りではない。

 となっているわけだ。贈与契約において書面に『よらない』契約はいつでも解除できると言うわけである。ではこの贈与契約が書面に『よる」場合は『解除できない』ということになる。

 ではAがどのようにYouTuber側に申し出たかが問題になることだろう。普通に考えて彼らに連絡をとった手段は動画のコメント欄、もしくはTwitterのアカウントに対してDM(ダイレクトメール)で申し出たと考えるのが普通だろう。まさか、契約書を作成し、郵送したなんてことはまずあり得ない。

 ではDMなど電子メールの文面は文書に当たらないのか?

 民事訴訟法231条でDMなどのメールは文書ではなく準文書という位置付けである。準文書である以上、確かに文章そのものではないのだが、匹敵するものとして証拠能力があるといえるだろう。

 ではAは書面による贈与契約が成立しているとも言える。

 だが……

 だがだ。

 問題が一つある。

 このDMがAが確かにYouTuberに出したかを証明しなければならない。なぜなら、民事訴訟法228条で『文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない』とあるからだ。

 真正とは偽造されていないことである。このAという人物がYouTuber側にどのような文面を送ったのか内容を把握していないのだが、Aが確かにそのメールを出したのかを証明するというのはものすごく難しい。
 
 ということで、私の結論では『書面による贈与が成立しAは100万円支払わなければならない可能性があるが、現実にやるとなるとめちゃくちゃ大変』というものになる。

 もちろん、これは私の考えであり、裁判所の公式見解ではないので全く違った者になる可能性は十分にある。
 これで民事裁判が起きてメールが文書の基準にあたるかどうかの基準の一つに当たるかどうかが示されるかもしれない。その点においても私とすれば注目している。


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By 福川 要

 2021年6月に宮崎県の片隅でひっそりと行政書士事務所を開業中。  主な業務は、許認可関連、遺言状作成です。

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