金. 4月 3rd, 2026

 

 みなさんは教員免許更新制度というものをご存じだろうか?

 平成21年4月1日に導入された制度で一定の有効期間が付され、有効性を維持するために、所定の手続きと大学などで30時間以上の講義を受講・修了するという制度である。

 私自身も対象となり、講義を受けたのだが想像以上に負担が大きかった。受講の対象者の先生達の多くは長期休暇に講義をうけることになる。学校現場を知らない人は夏休みなどの長期休暇は生徒が来なくて暇だと思い込んでいる人が多い。

 はっきり言おう。それは『間違い』だ。

 私自身は『中学校』『高校』の方で勤務したことがあるが、別に夏休みだからと言って暇なわけではない。代表例を述べれば卒業生の担任の先生は、夏休み中に三者面談、進路指導、調査書の作成を通常の業務に加えて行わなければならないのだ。
 そのほかの学年の先生達も進路関係の仕事がなくとも、部活はあるし、教科会はあるなど、色々と時間に追われているのである。

 そこに大学の講義を30時間も受けねばならない(しかも自腹)というのは、どう考えても負担が大きい。イメージしづらい人はこう考えて欲しい。『今のあなたの仕事をしながら、30時間大学の講義を受講しなければならない』と負担ではないか?

 学校の先生はそのような負担をこの十年間やらされていたのだ。

 ちなみに大学の先生方もものすごい負担だったようで、受け入れる側の大学も嬉しくないし、受講する(させられる)側の学校の先生方も嬉しくないという誰も幸せにしない制度が教員免許更新制度であったのだ。

 そもそも、どうしてこんな誰も喜ばない制度が出来たのか?

 この制度が出来た平成21年前後は『かけ算九九も言えない教員』とか言われる先生がいたことで、教員へのバッシングが盛り上がっていたように思える。
 確かにかけ算九九も言えない教員がいるのは問題である。だが、なぜそんなレベルの低すぎる教員が日本の児湯員の代表例になるのだ?

 どう考えたっておかしいだろう?

 ちなみに私は何度も教員採用試験に落ち続けた程度の能力しかない人間ではあるが、そんな私でもかけ算九九くらいは言える。今まで会った学校の先生達は実際に能力的にものすごく高い人達ばかりであった。

 はっきり言って学校の先生達全員の資質を疑って、教員免許更新制度など制定し、全員、大学の講義30時間も受講させる必要などまったくない。

 かけ算九九も言えないレベルの教員など例外中の例外であり、そんな例外中の例外のために忙しい教員に自腹で30時間の受講をさせようというのが最初から間違っていたのだ。

 例外中の例外の不適格教員は研修センターというところに出向させることで対応すればそれでよかったのだ。

 さて、そんな誰一人として望んでいない徒花のような制度は10年で終わりを告げたのであるが、なぜ10年で廃止されたのかというところであるが、簡単である。単純に一巡したのだ。一巡もせずに途中で制度を廃止すれば既に受講した教員から不平不満が噴出したことだろう。だからこそ、一巡するまで制度が続いたのだと私は思っている。

 しかし、この免許更新制度が廃止されたことで、この期間内に免許が失効した人の免許の効力は果たしてどうなるのだろうか?一応、この制度があったときは、失効した場合、再び30時間の講義を受講すれば免許が再び効力をもつことになっていた。

 しかし、制度が廃止されたことで、もうどこの大学も講義を開講しない。失効したままならば、効力を取り戻す方法がないということになるのではないか?

 それとも、失効自体が無くなり、普通に教員免許の効力がある状況なのだろうか?

 法理論的に首を傾げざるを得ない。

 この教員免許更新制度は廃止されたからといって、完全に元通りというわけにはいかない変な制度になってしまった。

 政治家や文部科学省はこういう例外中の例外の教員の事例をもって批判が高まったときに、「そんな例外中の例外を持ち出されて日本の教職員を批判するのは間違っている。もちろん対応はする。するがあくまでも個別の対応を行う」と毅然と言い放ってほしかった。

 批判に対して毅然とした対応をすることがものすごく難しいことは理解しているのだが、それでも国の教育行政を司るというのならそれなりの矜持を見せてもらいたいというのがしがない行政書士兼非常勤講師の切なる願いである。
 

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By 福川 要

 2021年6月に宮崎県の片隅でひっそりと行政書士事務所を開業中。  主な業務は、許認可関連、遺言状作成です。

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