さて、みなさんは有害図書指定というのはご存じだろうか?
これは宮城県における有害図書についての条例文である。
宮城県青少年健全育成条例第18条第1項
知事は、図書類の内容の全部又は一部が著しく性的感情を刺激し、甚だしく残忍性を有し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な育成を阻害すると認めるときは、当該図書類を有害な図書類として指定することができる。
宮城県の条文を参考にしてみたのだが、どの自治体でも有害図書に関する基準は大差が無いので、大体このようなものであるかというのは変わらない。
いずれにせよ、有害図書の基準は『性的』『残忍性』『自殺』『犯罪』の4つということだ。
誤解しないで欲しいのだが、有害図書指定は別に検閲でないので決して憲法違反ではない。なぜなら、別に発表が禁止されているわけではないからだ。もし、発売禁止までしてしまえば間違いなく検閲になるので憲法違反となる。
さて、有害図書指定は私の基準であれば憲法違反では無い。しかし、発表の機会を制限することは間違いないので、その指定には合理的な理由が必要であるというのが私の考えだ。さらに言えば有害指定した経緯もきちんと公開するべきである。
さて、ここまでが前提条件である。そしてここからが本番である。
その本番の話題とは鳥取県の有害図書指定の件だ。
実は鳥取県で有害図書指定された書籍を鳥取県内で販売禁止になっていることで、Amazonでの有害図書指定された書籍が販売されなくなったというのである。
いや……鳥取県は事の重大さを理解しているのだろうか?
はっきり言って、今までの有害図書指定とは明らかに一線を画す条例だ。もちろん、他県では販売は可能であるため、この条例が検閲であるという判断は難しいと思う。だが、鳥取県内で有害指定書籍は販売禁止というのはこれは日本国憲法で保障されている経済活動の自由を侵害しているということにならないか?
鳥取県がここまで強圧的な規制に出たのは、ボウガンの規制(それに対しての記事はこちら)が元々出あったという話である。
その意図は理解出来るのだが、その規制に対してあまりにも踏み込んだ条例であるとはいえないか?
従来の有害図書指定だけではダメだったのか?
三才ブックスという書店が有害図書に指定された経緯の説明を求めたことに対して、鳥取県の返答は今一要領を得ない。別の言い方をすればあまりにも不明瞭なのだ。
三才ブックスは具体的にどこが有害図書の基準に引っかかっているのか?という説明に対して、鳥取県の返答は『明確な箇所ではなく、全体を通して総合的に判断しています』との事だ。
この手の返答は厳しい内心の吐露のように私には思える。『総合的』というのはあまりにもフワッとした返答である。逆に言えば明確な基準を示すことが出来ていないのである。
おそらく鳥取県としては自分達が想定していた以上のことが起こった事にビックリしていることだろう。自分達が制定したのは条例のはずであった。条例は基本的に他県に対して何ら効力を生じさせないから大事になるとは思っていなかったのではないか?
しかし、Amazonが販売停止したために日本全国に影響が出てしまったのである。
鳥取県の条例では有害図書の販売をした者は罰金を科される。つまりAmazonは鳥取県在住の方が有害図書を購入した場合、Amazonに罰金が科される可能性があるため、Amazonが販売を停止したのである。
これはおそらく鳥取県としては驚いた事だろう。しかも、基本注目度が低い有害図書のために議事録作成もおざなりである。この議事録が注目を浴びることになり批判の気運が高まりそうである。すべてが鳥取県にとっての逆風に満ちているように私には思われる。
今後、この騒ぎはメディアが取り上げる可能性が高い。メディアの報道次第では鳥取県に一気に批判が高まる可能性がある。
鳥取県の担当者は頭が痛いことだろう。
正直居たたまれないという思いでいっぱいだ。